ふう、遅くなっちゃったわ」
すでにとっぷりと暮れた暗がりの道を美奈子は家路を急ぐ。
そのとき、その暗がりの中から奇妙な人影が二人現れた。
「安和木美奈子ね?」
「私たちと一緒に来てもらうわ」
そう言って近付いてきたのはこの場に似つかわしくない格好をした女だった。
黒いレオタードと網タイツを身に着け、腰には赤いサッシュを巻いた黒ずくめの女たち。
何より異質なのはその顔に施したメイクであった。
赤と青に塗り分けられた奇妙なメイク。
それが彼女たちをとても異様に思わせた。
「な、なんですか? あなたたちは?」
美奈子は驚いてあとずさる。
だが、女たちは構わずに近付いてきて美奈子の腕を取り上げた。
「いやっ! 何をするのっ!」
美奈子はつかまれた両手を振りほどこうとするが、彼女たちの力は異常に強く振りほどくことができない。
大声を上げて助けを呼ぼうとした美奈子だったが、なにやら麻酔薬のようなものを嗅がされて意識を失って
しまった。
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