ハマダラカ女
舞方 雅人様 作
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「先生サヨーナラー」
「先生サヨーナラ」
幼い子供たちが帰っていく。
「はい、さようなら。みんな車に気をつけるのよ」
駆け出していく子供たちを見送りながら、保育園の保母である安和木美奈子は大きく手を振った。
その様子を物陰から窺っている怪しい気配にも気が付かずに・・・



ふう、遅くなっちゃったわ」
すでにとっぷりと暮れた暗がりの道を美奈子は家路を急ぐ。
そのとき、その暗がりの中から奇妙な人影が二人現れた。
「安和木美奈子ね?」
「私たちと一緒に来てもらうわ」
そう言って近付いてきたのはこの場に似つかわしくない格好をした女だった。
黒いレオタードと網タイツを身に着け、腰には赤いサッシュを巻いた黒ずくめの女たち。
何より異質なのはその顔に施したメイクであった。
赤と青に塗り分けられた奇妙なメイク。
それが彼女たちをとても異様に思わせた。
「な、なんですか? あなたたちは?」
美奈子は驚いてあとずさる。
だが、女たちは構わずに近付いてきて美奈子の腕を取り上げた。
「いやっ! 何をするのっ!」
美奈子はつかまれた両手を振りほどこうとするが、彼女たちの力は異常に強く振りほどくことができない。
大声を上げて助けを呼ぼうとした美奈子だったが、なにやら麻酔薬のようなものを嗅がされて意識を失って
しまった。



ここはどこ?・・・
私はいったい?・・・
美奈子が気が付くと、そこはひんやりとした薄暗い場所だった。
「な、何? これ?」
起き上がろうとした美奈子は自分の両手両脚が固定されていることに気が付いた。
首を動かして見ると彼女は円形の台のようなものに載せられ、大の字に固定されているのだった。
その上驚いたことに衣服は全て取り去られ、柔らかい女性の躰を余すところ無くさらけ出していたのだ。
「い、いやぁ! な、なんなのよ、これっ!」
身をよじって逃れようとするが、手足の拘束は全くはずれない。
そこへ足音がこつこつと響いてくる。
「お目覚めのようね。安和木美奈子さん」
近付いてきたのはワインレッドの衣服に黒い網タイツを穿き、長手袋を嵌めた手にはムチを持っている女
性であった。
「あ、あなたは?」
「私はエイミー。このS・S・Bで研究主任を務めているの。これからあなたでその研究の成果を試させてもら
うわ」
「研究の・・・成果?」
自由にならない躰をよじり首だけをエイミーと名乗る女性に向ける美奈子。
「そう。私が新たに開発した細胞変化薬と意識改変剤、それに細胞活性光線の組み合わせを試してみるの。
これが上手く行けば人体改造を一台でこなせるオールインワンマシーンができるわ」
エイミーはにこやかに近くのテーブルに置いてあった瓶を取り、愛しそうに目の前にかざす。
「そ、そんな・・・く、狂っているわ」
「お黙り! 私は狂ってなどいないわ。それよりもこの私に改造されることを光栄に思いなさい。この私がじ
きじきに改造してあげるのだから」
エイミーは冷たく言い放つと二種類の液体を注射器に取り、それぞれを身動きできない美奈子に打ち込ん
でいく。
そして天井から下がっている手術用の無影灯を思わせるカラフルな色合いのライトをかざして美奈子の体
に照射した 。





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