ハマダラカ女4
海人様 作
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日も落ち閑静な住宅街の外れにある保育園では既に園児達は帰宅しており
保母達が再来週の運動会のプログラムについて職員会議を行っていた。
様々な提案が出されて充実した会議であったが、そこに予想もしない来客が現れる…。
「会議中に失礼します。ちょっとお時間よろしいでしょうか?」
突然の来客に驚いた保母達だったが入り口に一番近い若い保母が対応しようと
立ち上がり女性の前まで行くと女性は保母を強く抱き寄せる。
「なっ!?ちょ、ちょ、ちょっとやめてください!」
「ふふ…頂くわ」
保母の耳元で何かを囁いた女性が指先を首筋にスッと触れると
予想外の行動に驚いた保母が抵抗しようとしていたのだが
すぐに抵抗を止めて女性の言葉と『何か』を受け入れてしまっていた。
その光景を唖然として見ていた保母達だったが
女性が抱擁を止めると『何か』をされていた保母が振り向くと
その瞳は光を失い、心も全て消失しているかのようだった。
「…さん!どうしたの?」
「……」
問い掛けに一切答えない保母にかわり女性が口を開いた。
「この娘はもう私の下僕。あなた達ももうすぐ同じようになるわ…」
そう言うと女性はの背から2枚の羽が生えると瞬く間に異形の姿を現す。
「私はSSBのハマダラ蚊女!この保育園は今からSSBの管轄になるわ。
 まずはあなた達が私の下僕になるのよ!」
突如現れたハマダラ蚊女により職員室は阿鼻叫喚の図へと化したのだった。



翌朝、何事も無かったかのように保母達は園児達を優しく迎え入れている。
だが今日はいつもとはやや違った光景である事に気づいた者は少なくなかった。
年老いた園長や保父がいない事に疑問を抱いた親御さん達には
風邪をひいて休みだと、朝から煙を立ち上げているゴミ専用焼却炉については
昨晩届いた荷物の包装ゴミを燃やしているのだと説明していた。
そして各々の教室にて出欠を取った後、園児全員が体育館に集められ
園児達が走り回り騒がしかったが保母達は特に注意する事も無く
壁際でじっと園児達を見つめている。
誰かの登場を待つかのように。
しかしトイレに行こうと外に出ようとする園児には厳しく注意をし
体育館内のトイレへと連れて行き、一人も外へと出さないように扉を
硬く閉ざし保母の一人が扉の前に立ち尽くす程に厳重に
園児達を体育館という密室に閉じ込めたのだった。

そこに安和木美奈子の姿で現れたハマダラ蚊女を見て知らない人が
現れたということに若干動揺している園児もいたが保母達によって
整列させられ保母から全員の出席の確認の報告を聞くと
ハンドマイクを持ち園児達へと挨拶を始めた。
「はじめまして。今日からこの保育園はSSBの貴重な血液源となるだけでなく
実験場として選ばれたわ。もう君達の優しい保母さん達は既にSSBの一員になっていて
後は君達を私の可愛い『モスキートチルドレン』へと変えてあげるだけ。
大人しく受け入れなさい」
まだ幼い園児達はハマダラ蚊女の言葉を理解出来るはずもなく
『SSB?』『モスキートチルドレン?』『けつえきげん?』と意味をわかっていなかった。



その光景に予想していたとはいえ呆れたハマダラ蚊女が怪人態へと姿を変えると状況は一変した。
その場で泣き出したり、保母達の元へと駆け寄り怯えるといった
現れたハマダラ蚊女=化け物に園児全員が幼いながらも恐怖を感じていた。
悲鳴や泣き声が体育館に響き渡るBGMに微笑を浮かべていたハマダラ蚊女が
羽を動かすことで発生する『羽音』が微かに加わると、保母達に
ハマダラ蚊女と同じ2枚の羽が背中に生え、爪が鋭く伸びると
無表情のまま園児達を囲み体育館の中心へと集めていった。
園児達にとって優しく母親に近い存在といえる保母達の変貌に
混乱し放心状態となってしまっている。
「ふふふ・・・自らの置かれた状況を理解出来ない恐怖に満ちた表情がたまらないわぁ。

さあ神聖な儀式を始めるとしましょう。あなた達、まずは女の子から連れて来なさい」

「「かしこまりましたハマダラ蚊女様」」
残酷な命令を何の躊躇も無く受け入れた保母達は手始めに一人を抱きかかえて
ハマダラ蚊女の前に連れて行く。
「えぐ、ママぁ…」
女児は涙も止まりただ怖くて怯えるだけで何の抵抗もしない、いや出来なかった。
「さあ、まずは貴女から私の下僕になりなさい。大丈夫よ。
痛くはないしすぐに気持ち良くなるわ。
といっても、まだその感覚はわからないでしょうけどねえ」
そう言うとハマダラ蚊女は女児の首筋に爪を優しく突き刺すと
麻酔兼怪人化液を注入していく。
「ひゃぁ!な、なにコレ…」
一瞬だけ感じた悪寒に反応した女児だったが幼い身体には強力な麻酔により
すぐに気を失ってしまう。体育館の冷たい床に降ろされると、女児は注入された
怪人化液により気を失っている間に幼い蚊女『モスキートチルドレン』へと
変貌していく。



「う〜ん、いつ見ても私の下僕へと変化していく様を見るのは最高ねぇ。
子供の変貌は大人とはまた違った趣があるし…」
数分後にはハマダラ蚊女の羽音の効果により目を覚まし
背中には小さいながらも羽を生やすと保母達と同じく瞳は
光を失っておりハマダラ蚊女の背後に幼児とは思えぬぐらいに
直立不動で立ち尽くしていた。この女児達への儀式が終えた時には
ズラッと微動だにせず整列しており異様な光景である。

「ふう、女の子達は終わりね。次は男の子達なんだけど『例の物』が
まだ到着していないから…。どうしようかしら?」
「や、や、やい!悪いやつめ!女の子達をどうするつもりなんだ!!」
男児達の中でも比較的大きい園児が勇気を振り絞って立ち上がると
声を上げる。
「静かにしなさい。ハマダラ蚊女様の御前で無礼は許されない」
保母の一人がすぐに男児を取り押さえる。手足を動かして何とか
抜けようとするが男児の力ではどうしようも無かった。
「先生!どうしちゃったんだよぉ!元の優しい先生に戻ってよぉ!」
園児の必死の叫びも抵抗も全く無意味であり、蚊女となった保母には
多少の痛みは全く感じない。
「あらあら、元気な子ねえ。じゃあ『例の物』が届いたら君から儀式を
再開してあげるわ。楽しみにしてなさい、もうすぐ君も私の後ろの女の子達と
同じになるのだから…」
「い、い、いやだ!!僕は絶対にいやだ!」
「口ではそんな事を言っても怯えているのが私にはわかるわ…。
どうせ抵抗は無駄なんだから大人しくしてなさい」
すると外に通じる倉庫からSSBの戦闘員が黒光りするトランクを大事そうに持って姿を現す。
「ハマダラ蚊女様!遅くなりまして申し訳ございません!!」
右手で敬礼して立つ戦闘員にハマダラ蚊女は優しく声をかける。
「いいわよ、そんなに待っていないしね。渋滞でもしてたの?」
「い、いえ…。『例の物』の調整に予定より時間がかかってしまいまして。
それではお受け取り下さい」
ハマダラ蚊女の元まで近寄るとトランクを開けその中の『例の物』を両手で
大事そうに差し出す戦闘員。
例の物…それは付け爪であった。
といっても通常の物よりも数倍長くハマダラ蚊女専用の付け爪といえた。
「ふふ…これが私を更に強くするのねえ。
ところで実験はまだなんでしょう?」
「いえ、ラットでの実験は終えており成功しているそうです。
人間はまだとのことですが…」
「ふうん。じゃああの子で実験してみるとしましょうか」
そう言うとハマダラ蚊女は右手に付け爪を取り付けると
血のように紅い舌でペロっと舐め、男児の下へと近づいて行く。
「来るなよ!来るなよ〜!うわぁぁぁあん!!」
ゆっくりと迫り来る化け物に流石に怖くなった男児は大粒の涙を流して
保母の腕から逃れようと抵抗するもやはり無理であった。
「光栄に思うのよ。私の新たなる力の実験台に選ばれたのだから…。
もし失敗しても、それはそれでエイミー様が有効利用してくれるから安心なさい。
さあ、最初はちょっと痛いわよぉ…」
ハマダラ蚊女は男児の首元に付け爪を突き刺すと男児の顔は見る見るうちに青ざめていく。

To be continued...
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