変化は肉体だけにはとどまってはいなかった。
彼女の意識も変えられていったのである。
肉体が変化していくとともに、彼女の心はハマダラ蚊女へと変わっていく。
ああ・・・気持ちいい・・・
でものどが渇いたわ・・・水・・・水を頂戴・・・
美奈子は躰が変化していくに連れてのどの渇きを覚えていく。
水・・・水が・・・飲みたい・・・
水?・・・
私は本当に水が飲みたいの?・・・
美奈子の脳裏にはのどの渇きを癒すものとしての水が浮かんでこない。
違う・・・違うわ・・・
もっと・・・もっと・・・赤くて・・・甘い・・・
ワイン?・・・
ワインが飲みたいの?・・・
赤いワイン?・・・
いいえ・・・違うわ・・・ワインなんかじゃないわ・・・
何が飲みたいのだろう。美奈子は自問自答する。
出てきた答えは美奈子を愕然とさせた。
私・・・血が飲みたくなっている・・・
だが、その驚きはすぐに薄れていき、美奈子は血を飲むことを当然のように受け止めていく。
そうよ・・・血・・・血だわ・・・人間の血よ・・・
そうだわ・・・人間の血よ・・・血を飲みたいの・・・
ああ・・・血が飲みたいわ・・・美味しい血が飲みたい・・・うふふふふ・・・
美奈子の口元に笑みが浮かんでくる。
やがて美奈子の意識はハマダラ蚊女としての意識と摩り替わり、彼女はゆっくりと目を開けた。
「うふふふ・・・目が覚めたようね、ハマダラ蚊女」
手術台の脇でエイミーが微笑んでいる。
手足の拘束を解かれた美奈子はゆっくりと立ち上がってエイミーの前に跪いた。
「はい、プロフェッサーエイミー様。私はハマダラ蚊女。これよりはS・S・Bの一員としてこの身を捧げることを
誓います」
「上出来よハマダラ蚊女。早速お前に仕事を与えるわ。新たな薬品製造のために新鮮な血液が必要なの。
わかるわね?」
「はい、お任せ下さいエイミー様。私が勤めていた保育園には生きのいい子供たちがたくさんおります。そ
いつらの血を・・・ふふふ・・・」
ハマダラ蚊女の口元に歓喜の笑みが広がった。
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